昨年からこんな旅のアイデアを考えていました。
1)スマホ(やデジカメ)を持たずに出かける
2)知らない人も混じって5〜6人で旅をする
3)観光地には行かない
4)目的地を決めない
5)「写ルンです」を1台だけ用意する
このアイデアを面白がってくれる友人と先日、実際にやってみたところ、様々な発見があったので記憶の新しいうちにメモしておきたいと思います。
上の条件のうち、2)だけは条件をクリアできませんでした。
まず旅に出かける前に、待ち合わせ場所(駅名など)をメモっておかないと、当たり前ですが後で確認するすべがないということです。電車の時間や乗り換え駅、路線も同じです。
移動中は、ちょっと待ち時間ができてもスマホを見て時間を潰すことはできないので、本を持っていきました。ただし、電車の中で読書に集中してしまうと乗り過ごしてしまう可能性があるので注意が必要です。
家から待ち合わせ場所の駅まで遠かったため、余裕を持って出かけたところ、待ち合わせ場所には早めにつきました。
初めて降りる駅は閑散としており、待ち合わせしている人は誰もいませんでした。
そういえば、昔に比べ、駅の改札といった分かりやすい場所で待ち合わせしている人は減ったように思います。
しばらくして、友人が待ち合わせ場所に現れた時には、何とも言えない嬉しさが込み上げてきました。人と会うことが奇跡のように感じられた瞬間でした。
当日は天気が悪くて寒い一日でしたが、目的地のない旅はスタートしました。
目的地はありませんが、「旅を一緒に楽しもう」とか「お互いに仲良くなろう」といったような目的は共有しています。
目的地がないということは、どっちの道へ進むかという選択に答えがありません。
そこで大切になってくるのは、「直感を大事にする」「Yes, andのマインド」でした。
誰かが「こっち行ってみる?」と言えば、別の誰かが同じように「そっち行ってみる?」と返す。そうして最初の人が「じゃあ、こっち行ってみようか」という感じで、物事がスムーズに決まっていく。
こういったやり取りができないと、旅は一気につまらなくなりますね。まるで「ブレインストーミング」のような旅だったとも言えます。
「みんなで生み出すとかつくる旅」というのがふさわしい。イノベーション思考が鍛えられそうです。
そう考えると、多くの人がやっている名所や観光地に行く行為は、「消費する旅」なんだと思います。
話は変わって。
人と一緒に旅をしていても、ちょっとした何もない時間というのはやってきます。
その時、無意識的にスマホを探そうと頭が働いてしまうことに気づきました。これは完全に癖になっています。
「隙間時間」→「スマホをいじる」という思考は怖いですね。
昔に比べ、スマホを持っている限り「暇な時間」はありませんね。「何もすることなく暇な時間」ってめっちゃ贅沢ということに気づきました。
同様に、スマホに意識がいってしまう瞬間は何度もありました。
会話をしていて、何かを調べたくなった時や、スマホに保存してある情報(写真など)を見せたくなった時です。
あと、写真に撮りたい状況に出くわした時です。
今回の旅では、「美味しい食べ物」と「綺麗に咲いた桜」でした。もちろん、「写ルンです」で撮ったのですが、スマホでも何枚か撮りたかったです。
この旅は「写ルンです」1台27枚の写真しか記録に残せません。
そうなると、何を撮って何を撮らないかといった基準を考えなくてはいけません。
しかしながら、これはいくら考えても答えはでません。ここでも、「直感」「Yes, and」でやるしかないでしょう。
今回の旅では、終了の1時間前に10枚もフィルムが残っていることに気づき、慌てて消費しました。そんなこともよしとできる「広い心」も大切ですね。人間力もアップできる旅のようです。
「名も知らない駅を降りて、直感を頼りに知らない町を旅したらどうだったのか?」に対する回答ですが、とても面白かったし充実した一日を過ごすことができました。
その理由としては、
・想定外を楽しめる友人がいたこと
・全員が何かを発見しようというモードだった
・たくさん話ができた
・発見したものは(予想外なので)みんな面白かった
・明確に選択するという行為を無数に行った
・ゼロから何かを一緒に生み出す行為に近い感覚だった
からでしょうか。
天気が悪くてしかも寒いという最悪な状況でしたが、実行してよかったです。
個人的な成果としては、ランチで食べたハンバーグ、夕食の定食屋さんで食べたカキフライ定食は本当に美味しくて、もう一度食べたいと思わせるレベルでした。
当然ですが、これも全く想像もしていなかったことです。
旅全体を通じて、スマホがないと、コミュニケーションや行動がとてもシンプルになるなぁと思いました。
別の場所で起こっている出来事や情報が突然入ってくることはないからだと思います。
帰宅するときもシンプル。来た電車に乗って帰るだけ。
時刻表を調べることもありませんし、家にいる妻に「帰ることを知らせるメッセージ」を送ることもできません。
旅の途中で、「そう言えば、昔はカードサイズの紙に書かれた最寄駅の時刻表や路線図を持ち歩いていたね」という話がありました。
そんなこともすっかり忘れるほどに世界は変わってしまったようです。