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書籍「amazon 世界最先端の戦略がわかる」を読みました。

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アマゾンについて書かれた書籍「amazon 世界最先端の戦略がわかる」を読みましたので、ポイントだと思ったことをメモしておきます。

内容的には日々IT系のニュースや記事をウォッチしている方であれば、ほぼ知っている事ばかりです。

それでも、本書を読むことで、断片的に知っている情報を、頭の中で一度整理することができると思います。

 

まず、アマゾンのビジネスは経営学の歴史に刻まれるほど、エポックメイキングな存在であると著者は主張しています。

そんなアマゾンの強みをいくつか本書から拾ってみました。

 

1. 豊富な品揃えと低価格を実現するエコシステムがある

ご存知の通り、ネットショップとしてのアマゾンは、信じられないくらい品揃えが豊富で安い。
多数の品揃えを支えているのはアマゾン以外の事業者が出品する「マーケットプレイス」である。
また、フィルメント・バイ・アマゾン(FBA)というサービスを利用すると、どんな企業でもアマゾンのインフラ(商品の保管、注文処理、出荷、決済、配送、返品対応)を利用できるので、どんどん商品が集まる。
結果的に、勝手に集まってくる膨大な売れ筋データを使って、商品の仕入れ量や価格をコントロールできる強みがアマゾンにある。

 

2. アマゾンで最も稼いでいるのはクラウド事業である

自社サーバーの余った能力を他社に提供し始めることで始まった企業向けのクラウドサービスである、アマゾンウェブサービス(AWS)の成長が止まらない。
今や大企業から新興企業まで業種を問わず、続々とAWSを導入し始めており、シェア2位のマイクロソフト、3位のGoogleを大きく引き離している。
成長と共に値下げすることで価格競争力も高まり、競合に勝ち目がない状況である。

 

3. 国家スケールの会員数を誇り、脱会しづらいプライム会員

便利すぎるサービスで有料会員を囲い込み、しかも年会費は前払い。
それら莫大な前受金を設備投資や新しいサービス展開、コンテンツの拡充に回すことで、さらに会員増につなげることができる。
日本においては、段階的に会費が上がっていき、最終的には1万円前後になる可能性も指摘されている。

 

4. 稼いだお金の使い方がすごい

AWS等で稼いだお金を全て小売り事業などへの投資に回すことで、競争力を高め続けている。
(利益を出しているにも関わらず)上場以来、株主に配当を払ったことがない。 
キャッシュフロー経営を重視。

 

5. どんな企業でもM&Aできる

アマゾンがもつサービス力とキャッシュ力によって、一度狙い撃ちされた企業は逃げることができない。
M&Aを拒む企業に対して、会社を売却させるためだけに赤字覚悟の安値で類似サービスを仕掛けることがある。これをやられたらひとたまりもない。

 

6. 巨大な倉庫と配送力で物流を支配しようとしている

米国では大型トレーラーを大量に所有し、陸送だけでなく、自社で航空機も用意している(リース契約)。さらには空港までも自社で保有する予定だ。
これらのリソースは将来的には、他社の配送サービスにも対応(Shipping with Amazon(SWA))する予定だというから、既存の運送会社のビジネスは益々厳しいものとなるだろう。

 

7. ネットからリアル店舗へ進出

オンラインでは覇権を握っているアマゾンであるが、リアル店舗も含めた小売りではまだまだ伸び代がある。
米国では食品スーパーやコンビニ、書店などの実験的店舗が作られたり、企業の買収が始まっている。
従来のリアル店舗では、万引きやレジ待ち行列などの問題が依然残っているが、テクノロジーに強いアマゾンならではの方法でこれらの問題を解決しようとしている。
日本のスーパーやコンビニの2番手3番手企業がアマゾンになる可能性は否定できない。

 

8. どの業界も安泰ではいられない

1〜7までの強みを持つ企業はアマゾン以外に存在しない。
今やどの分野にアマゾンが進出しても不思議ではなく、進出されればほぼ間違いなく既存の企業の多くが戦略の変更を余儀なくされるであろう。
日本ではそれほど知られていないが、米国で最も衣料品を売っている企業はアマゾンだという。取扱ブランド数は日々拡充しており、有名ブランドが並ぶ。しかも、2016年に独自のファッションブランドを7つも立ち上げているとか。
日本のファッション業界においてもアマゾンの存在は日に日に大きくなっている。

 

9. アマゾンの組織文化

アマゾン創業者のジェフ・ベソスによれば、「協調よりも個のアイデアが優先される組織」が理想だとか。
確かに、大企業にはありえないスピードで、新製品や新サービスを投入し続けられる鍵は各組織が自律的に行動しているからなのだろう。
その結果、今のアマゾンは一言で表現できないほど複雑なビジネスを展開しており、しかも、各事業同士がうまくシナジーを発揮しているようにみえる。
「すべては顧客のために」を貪欲に実行し、普通の企業では問題にならないレベルの経費の無駄使いも許されないそうだ。また、KPIによる目標管理は非常に細かく管理され、人事考課にも大きく影響する。

 

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書籍「amazon 世界最先端の戦略がわかる」には、もっと細かい話もたくさん載っていますが、アマゾンとはどういう企業なのかがザックリ理解できたのではないでしょうか?

もし仮に、アマゾンでは絶対商品を買わないという人がいたとしても、他社のネットサービスを支えているのはアマゾンだったりするので、ネットユーザーのほとんどがもはやアマゾンがなくては生活できない状況となっています。

少なくとも、すでにアマゾンは世界の経済に大きな影響を及ぼす存在になっていることは知っておく必要がありますね。

 

ちなみに、本書を書いたのは元日本マイクロソフト代表取締役です。10年前に、アマゾンが自社の成長を脅かす存在になるなんて思ってもみなかったでしょうね。

 

amazon 世界最先端の戦略がわかる

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